風林火山 第23回 「河越夜戦」 感想


第23回 「河越夜戦」 

◎かんそう

○俳優さんがイイ!

真田幸隆役の人、イケメンでもないのにすごい存在感だ。オーラっていうの?たんに目がギョロっとしてるからか?

主人公に褒めちぎられて、「うれしいこと言ってくれるねぇ」的な感じでニコッと微笑んだあと、”カッ!!”とにらみつけ、「だがその手にはのらんぞ」とか、すごい演技力(顔芸)だった。

第一話の悪役の人といい、武田信玄の人といい、監督はいいキャスティングする。

関東管領上杉憲政もよかった。

近年の研究データの影響だろうか、それとも視聴者からのクレーム対策だろうか。最近の歴史ドラマは、単純にアホで無能な大物キャラをみかけなくなった。「記録では無能な人物だが、実は有能だった、時の政府のプロバガンダで無能な悪人に仕立て上げられただけだ」っていうのはわかるけど、どの武将も「実はいい人。実は有能」みたいな最近の歴史ドラマの風潮、キモチワルイ。
長丁場で合戦シーンもたくさんあるんだからそのうちの一つくらいは「すっごいバカ、無能のお手本のような大名が主人公の策略に翻弄される、有能な部下はアホ大名のアホな命令に逆らえず勝てる戦も負ける」みたいな展開があってもいいじゃん。ドラマなんだから。(そもそも上杉憲政はこのとき24歳)


○伏線キャラ

第6回「仕官への道」以来の登場となった(そして永遠の退場となった)本間江州。

今回の役者さんは「アゴ」でキャラたってたから思い出しやすくてありがたかった。

こういうフラグキャラって、今回みたいに特徴のある顔の役者さんを使ってくれると思いだしやすくていいよね。(ただ、思いだしやすすぎて他の作品にでても今回のキャラを思い出してしまうという副作用もあるわけだが)

○言葉の魔法

内通者を追跡していたせいで、北条vs上杉の合戦に間に合わず、北条に制圧された自陣で呆然とする真田幸隆。そんな真田幸隆に主人公が、「これが北条です。北条は強い。真田様、別の隊をつぶしに行った北条の戦を見にいきませんか?」と言う。

「友軍を加勢しに行こう」ではなく「合戦を見に行こう」。という。この言い方で真田幸隆を「戦争の当事者」から、「観客」に立場をシフトさせてしまうシーン。

(´A`)<さすが軍師、上手い。


◎おまけパート

---埼玉県.川越市---
今回の舞台となった地//関東を制覇しようとするものにとって川越は重要な地だった//

川越城.本丸御殿(河越城跡)
北条方が籠城した”河越城”の跡地

三芳野神社
城内にある//歴代城主に手厚い保護をうけた//

○東明寺{→北条五代記河越夜戦の事(慶応義塾図書館.蔵//→川越夜戦跡碑}
//河越城の近くに位置する//この辺りで北条軍と関東管領上杉軍の激戦が繰り広げられたと伝わっている{→北条五代記河越夜戦の事(慶応義塾図書館.蔵)}//境内から多数の遺骨が発見されたという//境内に石碑{→川越夜戦跡碑}がある

◎覚へ書き

○歴史パート:
1546.5.19.河越夜戦。(○北条氏康vs上杉憲政上杉朝定足利晴氏●in埼玉県)
//北条家の勢力拡大を懸念していた上杉憲政上杉朝定・足利春氏らが北条領・河越城に侵攻、城を包囲する//河越城の北条兵、籠城し北条本家からの援軍を待つ//北条本家、援軍を出すと後ろから今川義元が攻撃してくるので援軍をだせない//武田信玄の仲介で今川義元と北条が和睦・同盟関係に(甲府駿府相模三国同盟)。これにより後顧の憂いを断った北条軍、包囲されている河越城の救援にむかう//救援の北条軍8000・城の北条軍3000vs上杉足利連合80000。まともにやりあっても勝ち目がない北条軍、まずは「城はあげるから兵は助けて」的な手紙で相手を油断させたのちに夜襲//勝利を疑わず油断しきっていた上杉足利連合、混乱におちいり大敗を喫する//この勝利で北条家は埼玉県を完全に掌握

○ドラマパート:
三国同盟の成立により後顧の憂いを絶った北条氏康は敵(関東管領上杉憲政連合)に囲まれた友軍・北条綱成河越城の援護にむかう(→河越夜戦)。それに同行する主人公//静岡県。最新兵器・「鉄砲」を入手していた今川義元三国同盟締結会談の後、それを武田信玄に自慢。一方、神奈川県の北条氏康も鉄砲を所持していて「河越城救援」のために神奈川入りしている主人公にそれを自慢//埼玉県。北条の城・河越城を囲み威嚇する「関東管領上杉憲政軍+古河公方軍・足利春氏+扇谷上杉・上杉朝定軍」。囲まれ疲弊しきっていた河越城内の北条勢は討ち死に覚悟の開城決戦を決意//1546.4.救援にきたものの救援目標の河越城は敵8万に囲まれ連絡もできない(北条は8千+城3千 )//「敵中に味方(武将・本間某)が潜り込んでる、そいつに連絡したい」という北条氏康に主人公が名乗りをあげる。しかし主人公の申し出は北条のためというのはついでで、真の目的は敵にまわっている武将・真田幸隆と会い、武田に勧誘することだった//敵連合筆頭・上杉憲政は家臣の助言もきかず楽勝気分。陣中に入った主人公もあっさり兵として雇用する//主人公、敵中の味方(武将・本間某)に接触、伝言を託す。さらに真田幸隆との接触にも成功//主人公の説得に耳をかさない真田幸隆
//北条氏康、敵に和睦の手紙をだしまくる。これにより敵は完全に勝利を確信、女を呼び入れ宴会を開く(この女は北条の連絡役、「今夜夜襲を決行」そのむね敵中の味方に言伝)//敵中の味方(武将・本間某)が言伝を矢文で河越城へ送る→そこを真田幸隆が目撃、斬り合いになるも敵中の味方、真田幸隆に「自分は北条氏康の人柄に惚れて北条のスパイになったが一族は上杉側だ、家族のために北条と戦って死ぬつもりでいた、北条の人間扱いでここで死にたくない」と懇願。真田幸隆、見逃す(敵中の味方は言葉どおり上杉の人間として戦い討ち死に)//真田幸隆「北条が攻めてくる、おまえはどうするつもりだ」主人公「あなたを死なせたくない、おともします」//北条軍夜襲決行//真 田幸隆と主人公が駆けつけたときすでに上杉憲政軍は北条軍により壊滅、北条軍はすでに河越城の救援にむかっていた//主人公「北条が勝つところを見に行こう」//河越城の前に陣取っていた敵・上杉朝定軍、城から出てきた北条軍と上杉憲政軍を破ってそのまま背後から来た北条軍に挟まれ全滅、北条の大勝利//北条軍の大勝利、上杉軍の大敗を目の当たりに呆然とする真田幸隆に主人公「大敗し逃走した上杉憲政を追いかけるか、自分とともに武田のところに行ってみるか、決めてほしい」決断をうながす//過去(花倉の乱)に主人公と戦った武将・福島某の息子が主人公を発見、持っていた銃を発砲、命中、主人公倒れる//長野県。由布姫が出産//武田信玄のもとに由布姫の出産・北条の勝利、山本勘助討ち死にの おそれあり、との知らせが入る//つづく



◎おべんきょう

○じんぶつ(○→メジャー:△→マイナー:×→無名)

×北条綱成(1515-1587)武将(北条氏綱-氏康-氏政-氏直):相模国.玉縄城城主(神奈川県)・武蔵国.河越城城主(埼玉県)・駿河国.深沢城城主(静岡県

今川家家臣・福島某の子//6歳か21歳・親が戦死、北条氏のもとにはいる//北条家当主・北条氏綱に気に入られ北条姓を賜る//22歳・北条家の兵として各地を転戦//26歳・主君・北条氏綱が死去。次期当主・氏康からも信頼される//27歳・玉縄城城主となる//31歳・河越夜戦。奇跡の大逆転勝利。(○北条氏康vs上杉憲政上杉朝定足利晴氏●in埼玉県)河越城主も兼任となる(←イマココ)//42歳・第3次川中島の戦い。武田側の援軍として参戦、上杉勢を撤退させた(△武田信玄vs上杉謙信△in長野県)//54歳・三増峠の戦いに参戦、活躍(○武田信玄vs北条氏照北条氏邦●in神奈川県)//56歳・駿河深川城の戦い。侵攻してきた武田信玄と抗戦(*1571.1.16.時点○武田信玄vs北条●in静岡県)//56歳・主君・北条氏康の死去にあわせ家督を子に譲り隠居//72歳・病死
※文武ともに優れた人物だった・「地黄八幡」と記された旗がトレードマーク(この旗はなんと俺んちの近所の博物館にある!)・記録とドラマで若干設定が違うので混同注意


×上杉憲政(1523-1579):大名・関東管領上野国.平井城(グンマー)

関東管領・上杉某の子//2歳・父が死去、父の養子が家督を継ぐ//8歳・関東享禄の内乱。自分を推す派閥が勢力争いに勝利、家督を継ぐ(○上杉憲政vs上杉憲寛●in関東地方)//24歳・河越夜戦。3000人余りの兵を失い居城に敗走(○北条氏康vs上杉憲政上杉朝定足利晴氏●in埼玉県)(←イマココ)//25歳・小田井原の戦い。長野県の武将・笠原某に援軍を送るも迎撃にあい潰走(○武田信玄vs笠原清繁●in長野県)//29歳・北条氏に城を奪われたり家臣が北条氏のほうにいってしまったりで居場所を失い、つてを頼って最終的に新潟県上杉謙信の世話になる//34歳・上杉謙信を養子とする//37歳・上杉謙信に担がれて関東へ侵攻//38歳・小田原城攻め。上杉軍が北条の城を囲むも落とせず兵をひく(○北条氏康vs上杉謙信上杉憲政)●in神奈川県)//38歳・関東管領の職を上杉謙信に譲渡したのち隠居//56歳・上杉謙信が死去//57歳・謙信の跡継ぎ問題(お館の乱)で負け組み・上杉景虎にのっかり死去(自害とも殺害とも)(○上杉景勝vs上杉景虎●in新潟県))

×妻鹿田新介(****-1552):武将(上杉憲政家臣):平井城、御嶽城

詳細不詳//1551.敵(北条軍)が攻めてくる→主君・上杉憲政は逃げ、妻鹿田新介は主君の息子らとともに敵と戦うも最後は保身のため主君の息子を敵に差し出す→主君の息子が殺される→妻鹿田新介も不義を咎められ殺される

×河原隆正(****-****):武将(真田氏家臣):信濃国(長野県)

//詳細不詳//
真田幸隆の嫁さんの兄=真田幸隆の義兄

×足利春氏(1508-1560):古河公方(こがくぼう・全くわからんがたぶん地位の呼称):下総国.古河城(茨城県

武将で古河公方の足利某の子//23歳・関東享禄の内乱。経緯はわからんがここで古河公方とやらの地位を確立させた(○上杉憲政vs上杉憲寛●in関東地方)//30歳・第一次国府台合戦。北条氏綱と同盟し敵対勢力(叔父)を滅ぼす(○北条家vs足利義明+里見某+真里某●in千葉県)//33歳・北条氏綱が死去、家督を継いだ北条氏康と敵対//38歳・河越夜戦。北条領を攻めるも返りうちにあい大敗、幽閉される//44歳・強制的に家督を子供に引継ぎ//46歳・北条氏康に城(古河城)を落とされ幽閉される//49歳・城に復帰することを許されたがその年のうちに一族絡みの陰謀が発覚、再び拘束される//53歳・死去


×倉賀野直行(****-****):武将(上杉憲政-上杉謙信-直江兼続-酒井忠勝):上野国.倉賀野城城主(グンマー)

詳細不詳//上杉憲政に仕え、上杉憲政が北条に負けて上杉謙信に頼って新潟入りしたのちに上杉謙信に仕える//1561.上杉の小田原城攻めに参加//1565.6.武田信玄により城(倉賀野城・グンマー)を落とされ新潟に退却//上杉謙信の死後は直江兼続に仕える

?葉月(真田の忍)

※ドラマオリジナルキャラだと思う。(ググってない)

×上杉朝定(1525-1546):戦国大名扇谷上杉家当主):武蔵国.松山城(埼玉県)

大名・上杉某の子//12歳・父が死去、家督をつぐもその隙に北条家から戦争をしかけられ敗走、河越城を捨て松山城に拠点を換える//16歳・敵対勢力・上杉憲政と和睦//20歳・今川義元とも連携し北条に攻勢をかける//22歳・河越夜戦で戦死。北条が今川と同盟協定を成立、反転攻勢。結果上杉方の大敗(○北条氏康vs上杉憲政上杉朝定足利晴氏●in埼玉県)(←イマココ)

武田勝頼(諏訪四郎神勝頼):(1546-1582):大名・武将:甲斐・武田家当主・新府城躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた・山梨)/高遠城(長野)

武田信玄の側室の子として生まれる(四男)//10歳・母が死没//17歳・高遠城城主に(長野県)//20歳・織田信長の養女と結婚//22歳・嫡男生まれるも妻が難産で死亡/兄が自害したため跡継ぎとして甲斐に入り/小田原城攻めや三方ケ原の戦いに従軍//28歳・父・武田信玄死去、家督を受け継ぎ数々の合戦で勝利(正確には勝頼の息子が後継で、勝頼は息子が元服するまでのつなぎ)//30歳・長篠の戦で織田信長軍に大敗//36歳・本拠地を新府城(山梨)へ移す//37歳・家臣たちから次々に離反され自害
部下を分け隔てて贔屓・寵愛したことで求心力を失ったらしい。そのさまは反面教師として胸に留めておきたい。(`・ω・´)<能力の低い人間も大切に扱うように努力しなくちゃ。(´A`)<ムズカシ・・・

--組織--

○風魔(北条家の忍者集団)

戦国時代の神奈川県で活動した忍者集団。遅くとも北条家3代目当主・北条氏康の時代(氏康が家督をついだのが1541)から北条家滅亡(北条氏政切腹が1590)までの間、北条家に仕えていた//北条家滅亡後は東京近辺で盗賊として活動していたが、密告により一網打尽にされたらしい。


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