キカイダーREBOOT/レビュー補足



確か原作漫画では、敵に「服従回路」を組み込まれたことにより躊躇ない攻撃ができるようになったキカイダーがチート攻撃で勝利、だったよね?結構な急展開だったけど、あれは漫画が打ち切りになったとかの事情?

まあとにかく。

今作のオチは「良心回路」をみずから外すことによってパワーアップ、敵に勝つ、でした。

監督は「自分を失うことになってでも人間を守る姿」を表現したかったのか?

でも俺的に今作のオチの印象は「正しい心では悪に勝てなかった」だった。自己犠牲の精神で悪に勝つのはこれ系の定番だしOKだけど、「良心を捨てる」ことで敵に勝つ、良心を捨てることが自己犠牲、っていうのは違うと思う。現実がそうだとしても、わざわざ作り話のヒーロ ーものでそんなオチみせられても・・・

アニメ「タイガーマスク」の最終回みたい。アレも確か「反則をしない方針の主人公が最終回で方針を破棄、反則で圧勝」だったような・・

今作中でも「心があるから人間を守れる」とか言ってたのにおかしくね?「良心回路などなくてもオイラには良心、心があるんや!日本一や!」みたいなことが言いたかった?としたらこれはもうロボの頭はお花畑ってことか?結局人格も失ってないし。わからん・・・


ながれ

1:現代・日本。国をあげてのロボット開発組織「ARK」が誕生するも実体はロボの軍事利用が目的だった

2:キカイダー(←主人公)を作った光明寺博士は「ARK」の方針に反発。一方、女ロボを作った博士(→以下ギル博士)は軍事利用に賛同。

3:1年 後、光明寺博士が謎の事故死。博士には娘(←ヒロイン)と息子がいた。

4:博士の事故死に不審を抱いたネットジャーナリスト(→以下NJ)の男がヒロインと接触

5:ある夜、ヒロインと弟の暮らす高層マンションの窓ガラスがぶち破られ武装兵が突入、姉弟を拉致。

6:そこにキカイダーが現れ兵隊と巨大ロボを倒し姉弟を救出

7:巨大ロボの一件は捏造・隠蔽される。兵は「ARK」の手の者で、目的は光明寺博士の研究ファイルだった。

8:NJが{6:}の戦闘で壊れた巨大ロボの部品を知り合いのところに持って行き分析

9:姉弟が再び襲われるもキカイダーが助ける。キカイダー姉弟の父である光明時博士に姉弟を守るように命じられていたのだ

10:「ARK」の黒幕は国防大臣だった。昨今の世界情勢・安全保障の恒久安定をかんがみ、人間に代わりに危険な任務をこなすロボの開発が急務と考えてのことだった。

11:キカイダー姉弟は「ARK」に捕捉されないようローカルな交通機関を使い知り合いの博士のもとへ向かう

ーここまでの流れでキカイダー姉弟の仲がよくなる。そして光明時博士と姉弟の関係が良好でなかったことが明かされるー

12:「ARK」に居場所をつきとめられ襲撃される。キカイダーは応戦するも女ロボにボコボコにされる

13:キカイダーを守るため姉弟が投降。キカイダーは破壊をまぬがれ放置、姉弟は連行される

14:{11:}で姉弟が頼ろうとしていた博士がキ カイダーを発見。博士は{4:}のNJと交友があったので彼にキカイダーを託す

15:「ARK」は姉弟の弟の身体に埋め込まれた「光明寺ファイル」の検出に成功、それを元にさらなるロボ開発の発展をもくろみ名を「DARK」と改める。しかしギル博士は光明寺博士への対抗心から「DARK」に不満をつのらせる

16:キカイダーがNJと{8:}の電器屋の知り合いのもとで修理され目覚め、姉弟が無事解放されたと聞く

17:「ARK」から姉弟を守るのが存在理由だったロボ、キカイダー。しかし姉弟はもう「ARK」に襲われることはない。存在の理由がなくなったキカイダー。さて、どうしよう。←作品テーマは知らんが個人的にここに興味を覚える

18:ギル 博士が自身の脳を移植したロボ「ハカイダー」を完成させ独断で活動

19:ハカイダーは存在目的を失ったキカイダーに「DARK」の元で働くよう命令。これを拒否したキカイダーと戦闘になるも「DARK」が割って入り水入り

20:独断行動を咎められたハカイダーが「DARK」を離脱、施設を破壊し炎上させニュースに

21:ハカイダーに勝つには自分の「良心回路」をはずさなければならない、しかし「良心回路」をはずすと人格が失われると知ったキカイダー。それでもハカイダーとの戦いにのぞむ

22:キカイダーが単身ハカイダーと戦っていることを知り、キカイダーのもとへ向かうヒロイン

23:光明時博士を殺した、そして今後も殺戮を繰り返すと言う ハカイダーに、一方的にぼこられるキカイダー、そこにヒロイン到着、逃げようと持ちかけるもキカイダーは拒否。「人間を守りたい、それが機械の存在理由だときづいた」そうで

24:いい雰囲気のところでハカイダーが音波?でキカイダーを操りヒロインを襲わせる。「音波で良心回路を操れる」そうで

25:「機械としてではなく、自分の意思で人間を守る!」自ら良心回路をはずすキカイダー。良心回路をはずしたことにより戦闘力アップ、死闘の末ハカイダーを倒す

26:キカイダー「良心回路を外すことで敵に勝った→光明寺博士の意向を否定した」とヒロインに詫びたのち機能停止。今まで惰性で生きてきたヒロインにキカイダーをなおす、という生きる目的がうまれる

27:「DARK」がハカイダーの脳を回収、戦いは終わっていない、的な描写

おちまい


かんそう

「王子様が迎えにこないから私は漫画にのめりこむ」そんな無気力なヒロイン(=現代の若者?)が生きる目標をみつけるまでの物語、をやりたかった?従来ある作品をそのまま焼き直しするのは退屈だしやりがいもないという監督の気持ちはわかるが、客は「キカイダー」を観にきているという基本を見失ってはいけない。仮にヒロインの成長物語を上手くつくれたとしても、結局「何この話?」ってことになるし。個人的には好きだけど。

「ARK」はメディアを操るほどの権力があるんだから窓ぶち破って拉致しなくても、管理人に合鍵もらって連行、あるいは通気口から睡眠ガス、もっというと普通に目的話して穏便にことを進めればいいのに。戦闘シーン作りたいのはわかるが整合性なさすぎ。

そして自分の組織が開発して銃が効かないとわかっているキカイダーを、毎回銃撃して返り討ちに合う兵隊たち。アホや。

もしや何事も力ずくでは失敗しますよ、っていう監督から良い子たちへのメッセージ!?(でもキカイダーは最後、力ずくで勝利だしなあ・・)

主人公の役者さん、イケメンには見えないが、デビュー当時の福山雅治さんっぽい。昭和を意識した?

銃は敵のみ、剣も使わないアクションが好印象。これも昭和を意識?殺陣も仮面ライダーのOV「アクセル」やメテオと同じ味わいで好印象。アクション指導さん?グッジョブ。あとはバイクアクションが ほしかった

悪の人気怪人(いるのか知らんが)を出して従来のファンをとりこもう、みたいなことをしなかったのは好印象

ロボお姉さんめちゃ美人だー。胸の第3ボタンはずしたい

「不平不満ばかり並べて何もしないのがこの国の国民だ」:あるある。でもこの国の国民だけ、ではないよねきっと。なにより、爆発するほど不平不満が高まれば人間必ず何かするよ。それは過去の歴史が証明してる。まあだからこそ国は国民を生かさず殺さず飼育するんだけど。

使命(姉弟をARKから守る)を果たし、お役御免(もうARKは姉弟を襲わない)。存在の理由はなくなった。でも人生は続く。どうするジロー。
これは常々思っていることなんだけど。たとえばオリンピックで金メダルとるのが生きている理由だ、とれたら死ぬと神に誓った人 間が金メダルとったら、残りの人生はどうするんだろ 




「敵:おまえは良心回路をはずして私に勝った。つまりおまえは、心を否定したのだ!」

「主役:違う!良心回路がなくても心はここにある!」


ですわ。キカイダーは違う!と言い切ったけど、全然ちがわないよね、ロボが勢いでフワッとした発言しちゃいかん。監督は観客が納得いくような理屈を用意してくれ・・・消化不良おこしたよ。


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